「相互扶助」の看板を掲げた背信行為を忘れてはならない

2/05/2026

経営 社会問題

2月のヒヨドリ
2月のヒヨドリ
スズメよりもやや大きいサイズの鳥で、体長は約24cmほど
灰色の体と茶色の頬(ほっぺ)が特徴
分布がほぼ日本国内に限られているため、
海外のバードウォッチャーには珍しい鳥の一つ
雑食性で、果物や昆虫などを食べる
Canon PowerShot SX70 HS

かつて保険業界を揺るがした「不払い問題」。2007年当時、業界全体で25万件、総額284億円に上るとされた不払いは、その後の調査でさらに拡大しました。

あれから長い年月が経ちましたが、私たちはあの時露呈した「業界の歪み」を正しく教訓にできているでしょうか。

「相互会社」という建前と、利益追求の現実

日本の大手生命保険会社の多くは、商売としての利益を追求する「株式会社」ではなく、加入者が「社員」となって支え合う「相互会社」という形態をとっています。

本来、相互会社は余計な見栄を張る必要などありません。

  • 本質的な役割
    加入者から預かった資産を実質的に目減りさせず、管理費を極限まで抑えて運用すること。
  • 理想の姿
    極端に言えば、立派なビルなど不要。地味で堅実な「互助会」であればいい。

しかし、現実はどうでしょうか。株式会社以上の利益追求に奔走し、あろうことか「困ったときに助け合う」という契約上の約束(保険金支払い)を、複雑な特約を盾に「猫糞(ねこばば)」し続けてきた過去があります。

これは単なるミスではなく、経営者による「背任行為」と言っても過言ではありません。

「請求主義」という名の甘え

当時、不払いの最多理由は「請求がなかったから」というものでした。 「主契約の請求はあったが、付帯する特約の請求漏れがあったため支払わなかった」という理屈です。

しかし、顧客データがIT化されている現代において、その言い訳は通用しません。

  • システムの力
    本来、一箇所でも請求が発生すれば、紐付く特約や給付金は一目瞭然のはずです。
  • 誠実さの欠如
    「請求がないものは払わなくていい」という指導が現場にあったのだとすれば、それはもはや保険の体を成していません。

私たちは「お客さん」ではなく「社員」である

生保の営業担当者は、加入者を「お客さん」と呼びます。
しかし、相互会社において加入者は出資者であり、権利を持つ「社員」です。

近年、第一生命のように相互会社から株式会社へ転換する企業も増えました。
透明性を高めるという点では一歩前進かもしれませんが、形態がどうあれ「加入者の無知に付け込む」体質が根絶されたのか、私たちは常に監視し続ける必要があります。

チェックポイント

不払い問題を受け、現在は、各社「支払い漏れ防止システム」の導入や、診断書不要のスマホ請求などが進んでいます。

しかし、以下の3点は今でも意識する必要があります。

  1. 特約のブラックボックス化
    複雑すぎる特約は、今も「もらい忘れ」のリスクを孕んでいます。
  2. 受動的な支払い姿勢
    保険会社が勝手に気づいて振り込んでくれることは、まずありません。
  3. 「権利を主張する」自覚
    契約内容を把握し、正当な権利を主張する姿勢が不可欠です。

「信頼」を売る商売が、最も信頼できない行為をしていた……あの不払い問題の教訓を風化させず、私たちは賢い「社員」として、自分たちの資産を守らなければなりません。

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