私たちが向き合うべき「資本の論理」と政治の正体

2/06/2026

社会問題 政治

3個の饅頭を取り合う3人
Nano Bananaで生成

なぜ、私たちはいつまでも「勝ち組・負け組」という息苦しい物差しから逃れられないのでしょうか。

1. 「死なない程度に生かされる」低賃金労働のリアル

かつての構造改革がもたらした結論はシンプルです。「富める者はさらに富み、持たざる者は極貧へと向かう」。 しかも残酷なのは、資本の論理において、低賃金労働者は「死なない程度」に生かされる必要があるという点です。労働力がいなくなっては、経済界が困るからです。

本当に改革が必要なのは、現場の人間ではなく、無責任な官僚機構や仕組みそのものではないでしょうか。メディアや学者が忖度して報じない「構造」の真実を、私たちは直視しなければなりません。

2. 「再チャレンジ」は骸(むくろ)への言葉か

かつて流行した「再チャレンジ」という言葉。響きは良いですが、実態はどうでしょう。 一度、無慈悲な政策によって突き落とされた人に「さあ、もう一度這い上がれ」と言うのは、ライオンが我が子を谷に落とすような愛情とは根本的に違います。

近年、鉄道の人身事故が絶えない現実は、何を物語っているのでしょうか。 力尽き、命を絶った人々に対して、なおも「再チャレンジは可能だ」と、その骸に向かって言えるのでしょうか。社会を「民営化」し、勝ち負けだけで切り捨てる。そんな歪んだ空気感に、私は言いようのない怒りを感じます。

3. 饅頭を奪い合う、大人の「ケンカ」

そもそも「勝ち組・負け組」という表現自体、誰かを負かさなければ自分が勝てないという殺伐とした論理に基づいています。 ここで、3人の大人と3個の饅頭がある光景を想像してみてください。

  • お人好し
    「一人一個ずつだよね」とお茶を淹れる。
  • 警戒する人
    「誰かが横取りするかも」と身構える。
  • 強欲な人
    「全部奪ってやる」と狙っている。

結果は明白です。強欲な者が2個、3個とせしめ、お人好しは一つも食べられません。 これが自由主義経済というシステムの現実です。そこに「義理人情」という良識が入り込む余地はないのです。

4. 勝ち続けるための「不確定要素の排除」

現代社会で勝ち続けるには、戦略が必要です。 例えば受験。高い学費を払い、出題傾向を分析し、優秀な家庭教師をつける。こうした「不確定要素を減らすコスト」を払えるのは、言うまでもなく富裕層です。

人間の資質は、極端に優秀な人も、極端に不器用な人も少ない「樽型」の分布をしています。 だからこそ、似たような資質を持つ「大多数の普通の人々」の間での競争が一番激しく、そして親の経済力や環境といった「ちょっとした有利さ」が、決定的に勝敗を分けてしまうのです。

5. 資本の論理:金持ちがさらに金持ちになる仕組み

一度勝負が決まると、勝者はその資本力を使ってさらに有利な状況を作り出します。 高い給与で有能な人材を囲い込み、他社/者の優れた技術を買収する。

ある自動車塗料メーカーの話が象徴的です。 「なぜ大手メーカーに弱腰なのか?」という問いに対し、担当者はこう答えました。 「我々が強気に出れば、彼らは我々の技術者を高給で引き抜き、自分たちで工場を作ってしまうからだ」 これこそが資本の論理なのです。

6. 政治の本来の目的とは何か

では、政治の役割とは何でしょうか? 専門書には難しいことが書かれていますが、本質は「利害対立の調停=富の再配分」です。

社会の安定とは、一部の強者だけが謳歌するものであってはなりません。
「いつか攻撃されるかもしれない」と怯えながら守る安定は、本当の安定ではありません。

 資本の論理に任せるのではなく、大多数の人々が納得できる形で利害を調整し富の再配分をする……それによって社会の調和が保たれる。それこそが、民主主義における政治の目的ではないでしょうか。

7. 競争の果てに、私たちはどこへ向かうのか

本来、生物の競争は「生存」のためでした。 しかし人間社会の競争は、いつしか「他人より優れている」という不遜な意識を満たすための手段に変わってしまいました。

ポルシェを乗り回したい人もいれば、軽自動車で静かに暮らしたい人もいます。 上昇志向を持たない人は、価値の低い人間なのでしょうか……価値とは誰にとっての価値なのでしょうか?

結び:パイの配分を考える

社会全体のパイには限りがあります。 勝者が取り分を増やすのは自由かもしれませんが、それには「程度問題」があります。 敗れた人々が、時代に則した最低限の文化的生活すら送れないほどに勝者がパイを独占してしまったら、それはもはや政治の敗北です。

私たちは今一度、この「競争」というゲームのルールそのものを、問い直すべき時に来ているのかもしれません。

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