これまでの世界市場の推移を振り返ると、いわゆる「国際分業」が段階的に進展してきたことが分かります。
当初は、先進国が低付加価値製品の製造を低コスト国に移管し、それを輸入する一方で、高付加価値製品は自国で製造・輸出するという分業構造が主流でした。
ところが近年では、高付加価値製品ですら低コスト国で製造し、より大きな利益を確保するという形態へと拡張されています。
グローバリゼーション――あるいは国際分業と呼べば聞こえは良いものの、その実態は、株主から絶えず利益拡大を要求される大企業が推し進めてきた、数ある利益追求型ビジネスモデルの一つに過ぎません。
日本語で「国際分業」と言えば、国家間で役割分担を行い、各国が得意とする生産物を相互に輸出し合うことで、相互の利益を最大化する仕組み、と理解されるのが一般的でしょう。
一方、英語の “international division of labor”
(国際分業)という表現からは、より直接的に「労働力=コスト」というニュアンスが立ち上がってきます。説明上は、labor
には技術・資源・設備も含まれるとされますが、やや後付け的な印象は否めません。
もちろん、労働コストの低い国が低付加価値製品を製造すること自体には、一定の合理性があります。
しかし現実には、先進国企業が低コスト国で製造し、その製品を現地企業の販売網ではなく、自社のグローバル販売ルートに乗せる、という形態が一般的です。これは製造国の利益を最優先する仕組み(互恵)ではなく、あくまで先進国企業が自らの利益を最大化するための方法に他なりません。
この構造こそが今の国際分業の出発点であり、現在ではサプライチェーン――原材料から最終消費者に至るまでの全過程――の一工程として組み込まれ、グローバル企業の収益に大きく貢献しています。
企業側は、製造技術を提供しているのは自分たちであり、その対価として利益を得るのは正当だと考えているのでしょう。
しかし近年では、低コスト国の労働者の意識も変化しつつあります。同じ製品を、同じ品質で製造しているのなら、賃金も先進国の労働者と同水準であるべきだ、という主張が表面化してきています。
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ジニア(百日草) メキシコを中心に南北アメリカ原産 |
この国際分業モデルに正面から抵抗したのが中国です。
その背景には、中国が独立主権国家としての地位を確立し、巨大な国内市場を交渉材料として活用できたという事情があります。
先進国企業は、中国の膨大な潜在需要に魅了され、中国側が提示するさまざまな条件を受け入れてきました。それらの条件の核心は、外資から技術を吸収し、外資が生み出す利益を中国国内で循環させることにあります。
この中国に有利な枠組みの中で、中国は急速に力を蓄えていきました。
中国のビジネス上の基本目標は、主要製品における独自技術の確立と、国内資本による製造体制の構築です。
その延長線上に見えるのは、中国市場を半永久的に享受できると信じていた外資企業が、静かに中国を去っていく光景です。
もっとも、私はこの現実に対して、単純な善悪の基準を適用するつもりはありません。
【ご参考】
★各国が期待する巨大市場の先行き


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