車におけるタイヤの存在感と空気圧

12/23/2020

ナツミカンと青空
ナツミカン
撮ったのは12月です
実った果実が冬を越して
翌年の夏が食べ頃
別名はナツダイダイ(夏代々)

車を買う時の選択基準にタイヤは含まれる?

自動車を選んで買う人々の、おおよそ85%は、走行性能ではなく、内外観(デザインと内装の質感)を選択基準にすると昔から言われてきました……その強い傾向に則った戦略を展開し、走行性能に関しては人を小馬鹿にしたようなやり方をしたきたトヨタには慧眼があったとも言えますでしょうね。

他方、走行性能を意識して車を選択する人々は、エンジン性能、ハンドリング性能、ブレーキ性能などを気にはしますが、意外と、タイヤを気にする方は少ないですよね。
まあ、それだけ、タイヤの製造技術は成熟しているとも言えそうです……製造不良タイヤの所為で事故が起きたという報道は皆無とは言いませんが、目に付きません。

(2000年に米国のファイアストン=ブリジストンの子会社で、現在は、ブリジストン・アメリカズ・インク=のタイヤが原因で多数の訴訟問題に発展したことがありますが、あの事件の背景には政治的な特殊事情があったとも言われています)

車のタイヤは凄い存在

自動車のタイヤしかし、特別に気にしなくともシッカリと機能を果たしてくれているタイヤは、実は、凄い存在なのです。

どれほど凄いかをこれからご説明します。

 タイヤは葉書四枚の土俵で勝負している

昔、レーシングドライバー星野一義氏が「車は四枚の葉書で支えられています」という意味のことを言っているコマーシャルがありました。
つまり、自動車のタイヤ一本が地面に接する面積は精々葉書一枚程度でしかないということです。

その葉書四枚分のタイヤ面積で重さが1.6トン前後もある乗用車が支えられているのですね。

しかも、タイヤは車の重量を支えるだけではなく車を走らせ、曲がらせ、停止させるという、車の基本的な機能も、その僅か葉書四枚程度の面積で果たしているのです。
たとえ話になりますが、タイヤは葉書四枚の土俵で勝負をしているとも言えるわけです。

タイヤの機能はどれだけ重要か

タイヤに要求される機能がどれだけ重要かと申しますと…

  • どんなに高性能のエンジンを積んでも、その動力をタイヤが効率的に路面に伝えてくれなければ意味がありません。

  • ブレンボ(Brembo)の高性能ブレーキを装着しても、タイヤが路面で踏ん張ってくれず、スリップでもしようものなら、事故につながる可能性が高まります。

  • ハンドルを切っても、タイヤが外側に膨らもうとする力(横G)に抵抗できずにスリップしようものなら、自動車が道路からハミ出してしまったり、反対車線まで膨らんでしまったりで大変危険な状態になります……これ(ドリフト走行)が面白いと煽る連中もおりますが…いずれにせよ、公道でやることではありません。

勿論、タイヤに求められる機能には、上記の基本的なもの以外にも多々あり、乗り心地や燃費などの改善にも大きく貢献しています。

タイヤの空気圧の管理が大切

などと、大抵の方々が知っておられるようなことを書連ねてしまいましたが、それだけ重要なタイヤの管理の一つである空気圧が如何に大切なものであるかが分かって頂けると思います。

指定された空気圧(車両指定空気圧)よりも高かったり低かったりしますと、タイヤ側面の屈曲程度と路面に接する面積が異なってきますので、当然、走行性能に影響がでます。(走行性能には、勿論、安全性も含まれます)

タイヤの空気圧は、基本的に、自動車によって指定されていますが、新たに交換したタイヤの指定空気圧が自動車が指定している空気圧とは異なる場合もありますので、要注意ですね……その場合は、勿論、新たなタイヤに指定される空気圧を管理します。

基準となる空気圧は、走行後のタイヤ温度が下がっていない/冷えていない状態で計るのではなく、走行によってタイヤの温度が上がる前の段階で、つまり、しばらく乗っていない状態で計測します。

 空気圧の調整に使用するゲージには注意が必要

タイヤの空気は自然に抜けますので、1ヶ月に1回はチェックする必要があります。
更に、外気温によって空気圧は変化しますので、特に、夏場と冬場に向けて外気温が大きく変わってゆく時節には、外気温の大幅な上昇・下降に応じて、比較的マメに空気圧を調整する必要があります。

空気圧の調整にはゲージを使います。
値段は600円台のものから数万円するものまであるようですね……値段差は精度と耐久性の違いから来ていると思います。
耐久性は見た目でも感じることが出来ますが、精度は表示を見なければ分かりません(^^;)

個人で使用するエアゲージの精度はチョット厄介

ブリジストンのエアゲージブリジストンの1万円もするゲージの精度は±6kPaとありますので、例えば、200kPaと表示されても、実際には、194~206kPaの範囲で誤差が生じている可能性があるということですね。

カーショップでよく見かけるメーカーの千円台のゲージの精度は±10kPaとありましたので、誤差±6と±10の差には8千円以上もの価格差があります……1メモリが約千円に相当しますね(^^;)

どれだけの精度が必要かと申しましと……
±6でも理論上は厄介です……何故なら、前輪のタイヤと後輪のタイヤでは指定される空気圧が異なり、その差は10kPa程度が一般的のようですので、10kPaは走行性能に影響を及ぼす差であると言えるのです。

従って、10の中の6となりますと、6は四捨五入しますと10になってしまいますので、ウ~ン、困ったなあ~となってしまいます。

ましてや±10なんて…と思ってしまうのです。

更に、カーショップで買うゲージは、比較的短期間(1年?)で大幅に狂ってくるケースが多そうですので…輪を掛けて厄介ですよね(-_-)

 タイヤの空気圧のシビアな調整は必要ない?

しかし、市場で一般的に売られているエア・ゲージの精度はそんなもんですので、それが現実として受け入れますと、タイヤが許容する空気圧の範囲は意外と広いのかもしれませんね(^^;)

ガソリン・スタンドで空気圧を調整している人たちが多いのでしょうが、定期的に空気圧ゲージの精度をチェックしているガソリン・スタンドはどれだけあるのか……大いに疑問です。

先日、私が長年お世話になっています石油元売の直営店で空気圧調整をした時のことです。
ゲージに小さな紙が貼られ、それに読み取れないほど小さな文字で「+30……」と書かれていましたので店員に尋ねますと、アッ、それはゲージの針が示す数字よりも実際には30多いということですと言うではありませんか…
つまり、ゲージが狂っていて、それに気づかない間は、空気圧を200kPaにしたつもりが、実際には、15%も高い230kPaになっていたということです。

それでも、設定値を指定空気圧にしている場合は問題ないと思いますが、私のように、遠出する時には設定値を10-15%アップにしている場合は問題が起きる可能性があります。
10%アップのつもりが実際には25-30%アップになるのですから、タイヤがパンパンになって、乗り心地が悪くなることも然る事ながら、スリップしやすくなり危険です。

但し、空気圧は高過ぎるよりも低過ぎる方が大変危険です…特に、高速道路を走る場合にはです。

 比較的正確な空気圧はディーラーでチェックする

半年に一度ぐらいは、ディーラーで空気圧調整を行い、その際に、ご自分が持っているゲージの精度をチェックすることをお勧めします。
ディーラーで空気圧調整が終わった後で、ご自分のゲージで4輪を計ってみれば、ディーラーが設定した空気圧との差が分かります。

もし、その差が4輪ともほぼ同じであれば、その差を前提としてゲージを使えば良いわけです。
万が一、4輪の差がバラバラだった時は、そのゲージを廃棄処分して、新たに買うしかありませんね(^^;)

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