国家は誰を守るのか
りあむ:教授、おはよー。
ねえ、「国が守ってくれる」ってさ、
どういう意味?
どういう意味?
教 授:いきなり抽象度が高いな。
国家とは、領域と主権を持ち、国民を
保護する統治機構だ。
保護する統治機構だ。
りあむ:ほら出た、“機構”。
でもさ、それって結局、「誰をどこまで
守るか」決める装置ってことでしょ?
守るか」決める装置ってことでしょ?
教 授:……まあ、そうとも言える。
りあむ:うちらが必死に納めてるショバ代……
あ、税金?あれって、払った額で
「守りランク」決まってそうじゃん。
教授はいいよ、給料高そうだから
「ダイヤモンド会員」で守られそうだ
けど、うちら「無料プラン」で
真っ先に生贄にされそうだし!
で、その守りって平等?
あ、税金?あれって、払った額で
「守りランク」決まってそうじゃん。
教授はいいよ、給料高そうだから
「ダイヤモンド会員」で守られそうだ
けど、うちら「無料プラン」で
真っ先に生贄にされそうだし!
で、その守りって平等?
それとも「優先順位つき」?
教 授:国家には限られた資源しかない。
だから優先順位は不可避だ。
りあむ:ほらー!やっぱりランキング制じゃん!
「国家プロテクト Tier表」あるでしょ
絶対。
絶対。
教 授:君は何でもゲーム化するな。
りあむ:だってさ、現実そうじゃない?
影響力のある人が困れば即対応。
名もなき人が困れば、手続きに三ヶ月。
教 授:それは制度の問題であって理念の問題
ではない。
ではない。
りあむ:でもさ、理念と実装がズレてるなら、
国家って“理想を掲げた現実的な妥協
装置”ってこと?
装置”ってこと?
教 授:……手厳しいな。
シマウマは無垢で、人間は説明する
りあむ:この前さ、TVで見たんだけど、
ライオンに襲われて逃げまわっていた
シマウマの群れが、ライオンに仲間が
パクられると、何事もなかったかのよう
に隣で草食い始めてんの。
ライオンに襲われて逃げまわっていた
シマウマの群れが、ライオンに仲間が
パクられると、何事もなかったかのよう
に隣で草食い始めてんの。
教 授:それは以前も言っていたな。
りあむ:でもさ、あれは無垢じゃん。
考えてない。意味づけしてない。
でも人間は違う。人が犠牲になるとき、
ちゃんと“理由”をつける。
ちゃんと“理由”をつける。
教 授:例えば?
りあむ:「国益のため」「経済のため」
「秩序のため」。
なんなら「仕方がなかった」。
「秩序のため」。
なんなら「仕方がなかった」。
教 授:……。
りあむ:シマウマは“考えない”。
人間は“正当化する”。
人間は“正当化する”。
どっちが残酷?
教 授:……人間は理性を持つがゆえに、
犠牲を構造の中に組み込むことが
できる。
できる。
りあむ:そう、それ!
「必要な犠牲」って言葉、
便利すぎない?
便利すぎない?
教 授:国家は常に、個人の命と全体の存続を
天秤にかける。
天秤にかける。
戦争、感染症対策、経済政策…
すべてそうだ。
すべてそうだ。
りあむ:じゃあさ、国家って結局、“誰を犠牲に
すれば許されるか”を決める権力って
こと?
すれば許されるか”を決める権力って
こと?
教 授:……極端だが、本質を突いている。
契約か、運命共同体か
りあむ:国家ってさ、契約なの?
「守るから従え」っていう取引?
教 授:社会契約論ではそうなるな。
ホッブズは「安全のために自由を
差し出す」と言った。
差し出す」と言った。
りあむ:でもさ、その契約って更新できるの?
解約ボタンどこ?
教 授:基本的には、ない。
りあむ:サブスクよりタチ悪いじゃん!
教 授:だからこそ民主主義がある。
完全な解約はできなくとも、内容の
変更は可能だ。
変更は可能だ。
りあむ:でも多数決ってさ、少数派の犠牲を
“合法化”する装置にもなるよね。
“合法化”する装置にもなるよね。
教 授:……それが民主主義の永遠の課題だ。
多数の幸福と少数の権利の緊張関係。
りあむ:つまり国家って、「全員を守る」と
言いながら、常に“誰かを十分には
守れない”構造なんだ。
言いながら、常に“誰かを十分には
守れない”構造なんだ。
教 授:そうだ。国家は万能の盾ではない。
むしろ、不完全さを管理する仕組みだ。
それでも国家を必要とする理由
りあむ:じゃあさ、国家って欠陥商品じゃん。
教 授:欠陥というより、
“人間の限界を映す鏡”だ。
りあむ:……かっこいいこと言うじゃん。
教 授:人間が完全に利他的なら国家は
要らない。だが現実はそうではない。
要らない。だが現実はそうではない。
だから、完全ではない装置を
作るしかない。
作るしかない。
りあむ:でもさ、その装置が弱い人を切り捨てる
方向に傾いたら?
方向に傾いたら?
教 授:そのときに必要なのが——
君のように疑う声だ。
りあむ:え、私いま褒められてる?
教 授:国家は常に「守る」と言う。
だが、誰が守られていないかを問い
続ける者がいなければ、その言葉は
空洞になる。
続ける者がいなければ、その言葉は
空洞になる。
りあむ:……じゃあさ、無料プランでも持てる
武器って、“問い”なのかな。
武器って、“問い”なのかな。
教 授:そうだ。
問い続ける限り、国家は完全な
捕食者にはなれない。
捕食者にはなれない。
りあむ:シマウマにはできないことだね。
教 授:ああ。
だから人間は、残酷だが、同時に希望も
持てる。
持てる。
りあむ:……教授。
教 授:なんだね。
りあむ:今日ちょっとカッコいい。
教 授:たまにはな。
りあむ:私をダイヤモンド会員に昇格させて?
教 授:却下だ。
りあむ:ぴえん。

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