伊東方面で撮った皆既月食 大島が正面に見える場所にある旅館の部屋から11月8日に撮ったものです。 シャープネスをわざと上げているので表面がザラついてますが、それによって左下の星が微かに写っています。 ご参考:皆既月食ー上海 |
万年筆のペン先調整
何故、5年も前に買った万年筆を今さらと言われますと…
この問題は買った時からの現象で、これがこの万年筆特有の個性なんだろうなあ~と諦めていたのですが…今年、新たに万年筆を買いに行った時に、売り場に置いてあったCUSTOM74のSFMを試し書きして分かったのです…この問題は個性ではなく初期不良なのだと…つまり、試し書きした物には同じ問題は無かったのです。
万年筆のペン先調整は初めての経験です。
ペン先調整のために訪問した先は京橋にあるパイロットです…東京ですね。
数日の間隔を開けて2回訪問したのですが、どちらの修理担当者も親切で対応が良かったですね…その点では満足しました。
それで調整の経緯と結果は…
最初の調整
ペン先やニブには問題が見られず、インクフローが少なすぎることが原因だと言われました。
下から上の方へ線を書く場合はペン先のスリットが閉じている状態なので、インクフローが少なすぎるとインクはどうしてもかすれてしまうそうなんですね。
現状はインクフローが少なすぎる状態なので増やして改善する方法しかないとのことでした…
つまり、インクフローを増やすということは、上方面への描線以外では全く問題なかったインクフローが増えるということになりますので、それは避けたいと修理担当者にお願いしますと…
う~ん、仰っていることは分かりますが、上方向への線以外はインクフローに問題はないと思われるのは、お客さんの筆圧が強すぎるからなのです…万年筆は筆圧を加えずに書くのが一般的ですから、インクフローの調整もそのような状態で行います。
それを前提としますと、現状のインクフローは限りなく無いに近いと言えます…(ちょっと待てよ、インクフローは買った時の状態から変わってないぞと言いたいのを腹に収めて)…ですから、問題を改善するにはインクフローを増やす以外に方法はありませんと担当者は言うのです。
専門家にそう言われますと、まあ、そうしてみようかと思ってしまいます(-_-;)
ということで、インクフローを増やしてもらうことにしました。
インクフローの増加を最小限に抑えてみましたというペン先を試してみますと、確かに上方向の描線はかすれなくなりましたが、それ以外の描線のインクフローは良すぎるきらいがあります。
そのことを伝えますと、お客さんの筆圧が強すぎる所為なので…と担当者は仕方なさそうに言い、使ってみて、もし、どうしても満足できない点があれば、また調整に来て下さいと言われましたので、そうすることにした次第です。
二回目の調整
使っていて、どうしても描線にインクが余分に付いてしまうために書いた文字が汚れて見えてしまうという傾向が嫌になり、再調整をお願いしてみることにしました…まあ、元に戻っても良しとの覚悟を決めた次第です。
前回と同じ場所に行きましたが、修理担当者は別の方でした。
前回の経緯を説明して、その問題は改善されなくともいいので、インクフローを少し絞って欲しいとお願いしました。
その担当者は、早速、万年筆のペン先のニブが紙に微かに触れるかのようにしてインクフローをチェックしてから、う~ん、現状でもインクフローは殆どないに等しいですねぇ~…これを更に絞るんですか!?と驚いたように言います。
私も多少なりともウンザリしてきていましたので、とにかく、前回は増やして頂きましたので、それを減らして頂きたいのですと再度お願いしますと…本当にインクフローを絞っていいんですねと念を押されました。
いいですよ、お願いしますと答えて絞ってもらったペン先を試す私を見て、筆圧が強過ぎますねぇ~と担当者が言います…いくら何でも強過ぎますよ、万年筆は筆圧を加えずに書けるから良いのですよと諭してきます。
彼は、私の筆圧を考慮して、再度ペン先調整をしてくれました…その結果は、"SFM"からソフトの"S"が抜けた"FM"のペン先に変化した感触です…つまり、硬くなったわけです。
(筆圧が強い人には硬いペン先をという考え方ですね…一般的には鉄ペンが合っているとも言えますが、鉄ペンでも柔らかいペン先のものもあります…例えば、ペリカンのM200です)
スベリに関して上方向以外には全く問題なかったCUSTOM74がザリザリした感じに変わってきましたが、それを彼も感じたようで、最後はニブにやすりを掛けて終了でした。
う~ん、滑り感が悪くなりましたので、ペン先調整はしなかった方が良かったという結果となりました(-_-;)
学んだことは、初期不良は後でも直せると思わない方が良いということと、筆圧を加えず書けるように万年筆が設計されているなら、使い方をそれに合わせる方がベターだろうということですね。
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万年筆と筆圧の再考
パイロットの修理担当者が言うには、司法試験の勉強では長い時間書き続けることが多いようで、力を入れずに書けて疲れない万年筆を使う人たちが増えてきているそうです。彼は、万年筆に筆圧を加えて書くのは邪道だと言いたそうでしたね。
専門家の仰ることに反論するつもりはないのですが…
筆圧を加えずに万年筆の重さだけで書くことは、やろうと思えば出来ないことではありません…でも、それでは万年筆のペン先の個性/特徴/差別化を全くと言っていいほどに無視できてしまうのではないでしょうか…
実際に、高級から数百円程度の万年筆で筆圧を加えずに書いてみればわかります…その差は、ペン先ではなく万年筆のボディやインクからくるものです。
つまり、どのメーカーの鉄ペンであろうが、21kであろうが、硬かろうが柔らかかろうが、筆圧を加えずに書く場合は、ペン先の違いからの差別化は殆ど出来ないのです。
滑りの悪い万年筆なんて、不良品でもなければ、皆無となるでしょうね。
要するに、筆圧を加えずに書けるボールペンとでも言えそうです…別に悪いことではないですよ。
彼らは、筆圧の強弱でもって描線の違いを出すのは万年筆本来の書き方ではないと言います。それが、多分、正しいのでしょうが、納得しきれないことも確かです。
個人的な判断としては、弾力性があるペン先の方が筆圧を吸収してくれるので、筆圧が強い人ほど指や手の疲れを軽減できると思うのですが…
それでも、万年筆の設計者はペン先のスリットだけに焦点を当てて、インクフローが途切れないように、筆圧の弱い人用には弱い力でもスリットが開く柔らかいペン先を、筆圧が強い人用にはスリットが開き過ぎないように硬いペン先をと考えているのでしょうね。
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