中国の社会問題は、ある意味、複合的に絡み合って数限りなくありますでしょうから、特別に何かを取り上げても詮無いことなのかもしれません…
しかし、己の意思で生まれては来ない子供たちが成長してゆく過程の環境に、余りにも格差があり過ぎることは、ある意味では、社会問題というよりは、社会的犯罪と言っても過言ではないように思います。
例えば、取り残された子供たちの問題です。
色々な報道機関が記事にしているようですが、“Left-behind”と表現される取り残された子供たちの数の多さに驚愕してしまいます。
CNNの記事を読みますと、その数は6千百万人に上り、中国の子供人口(0~17才)の2割にもなります。
今でも世界第3位のGDPを誇る日本の総労働人口に匹敵する人数です。
日本でも出稼ぎという言葉があり、企業側は季節労働者と言っております。
その実態を調べてはいませんので、中国との詳細な違いは言えませんが、基本的な理解としては、日本では親子が1年中離れて暮らすのではなく、農業なら冬場に都会や工場地帯に出て働き、春には農業に戻るという状態です。
中国ではどうかと言いますと、
報道各社が使用している上の表の数字に見られるように、子供が両親に年1回しか会えないというケースが圧倒的に多いです。
地方では全く仕事がなく、あるいは、子供に上の教育を受けさせる資金を稼ぐために、都会や工場地帯に出て働くしかないという人々が多いということです。
彼等は季節労働者ではないのです。
それなら家族も連れてゆけば良いではないかと思ってしまいますが…
士農工商のような制度とどこが違うんだと思ってしまいそうな、都市戸籍と農村戸籍を明確に区別する制度が中国にはあり、生まれながらにして備わった戸籍の種類は基本的には変わらないのです。
(近年では、大学卒業時点で都市戸籍を取得できるとか、制約が緩和されては来ているようです)
それによって、農村戸籍の子供が都会に来ますと教育が制限される…
つまり、公立の幼稚園や学校には入れない…
従って、子供を連れてくるわけにはゆかないのです。
まさか、私立があるだろうって仰らないですよね…
私立はありますが、富裕層の子供たちが通っている別世界となります。
数年前のお話ですが…
下町の小さなお店が立ち並ぶ通りを歩いていた時のことです。
平日なのに小さな子供たちが通りで遊んでいましたので、一緒に歩いていた中国人の社員に、あれっ、今日は学校が休みなの?と聞きますと…
違いますよ、いわゆる登録されていないので幼稚園や学校には行けない子供たちですよと言われたことがあります。
それでも、何故もっと頻繁に故郷に帰らないのか!?
とも思ってしまいますが、基本的に、交通費がバカにならないのです。
比較的近場で、最も安い長距離バスで6時間以上掛けて帰っても、往復で1,000元前後以上します。
また、帰郷するとなると手ぶらでは帰れません。
親戚へも配るお土産だけではなく、お小遣いもあげる必要があります…
大人の人にも上げます。
月給が2千5百元前後の人たちにとっては、大金がでてゆくことになってしまいます。
帰郷しない理由は他にも色々とあるようです。
都会で新たに家族を持ってしまうケースも珍しくないと聞いています。
それが嫌で夫婦で一緒に故郷を離れますと、残された子供は親からの日々の愛情を得られずに育ってゆくことになります…
そうなりますと、統計上、中国に限らず、大きな問題を孕んでゆく可能性が高まり、致命的な社会問題となりかねません。
親の愛に飢えた、あるいは、親の愛を知らずに育った多くの子供たちが大人になった社会を想像しますと、ゾッとしてしまいます。
そんな風に言いますと、世の有識者とか知識人とか言われる連中は、それは無知蒙昧な者の単なる偏見でしかないと宣ふのでしょうね(-_-;)
…彼らのような子供たちの中にも将来立派な人物になる人もいる筈だと…
勿論、否定は致しません。
しかし、それは正に偏見なんです。
お前たちと同じような境遇に育っても社会的に立派になった人たちがいる…
それは一生懸命に勉強して努力したからだ…
それにひきかえ、お前たちが駄目なのは、勉強も努力も一生懸命にやらなかったからで、お前たち自身の責任だ…
と言っていることになるからです。
まあ、有識者や知識人たちは本当にそう考えているのかもしれません…
多くは既得権を死守しようとする実に困った人たちです。
それよりも危惧しますことは;
親の愛が欠落した子供たちが大人になってゆき、その中の優秀と言われる人たちが政治の中枢に入っていったとするなら…
ゾ~っとして鳥肌が立ちそうです…
まあ、単なる想像でしかありませんが…
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