寅年ですね。今年もよろしくお願い致します。
日本の高度成長期と言われた1980年代に東京を訪れた欧米人が、夜の東京の輝き(光の広がり)を見ると日本の繁栄が感じられると言っていたものです。
当時の日本の技術者達の中には、もう欧米に学ぶものは何もないと言う人達もいました。
しかし、そこには過去・現在を学んだことはあっても、将来に向かってどう進むのかを考え決断を下すプロセスに関して学んではいなかったのです。
相も変わらぬ欧米追随根性が根付いたままだったのです。
当時、アメリカの会社の日本現地法人で働いていた時に経験したことですが…
日本市場の技術レベルも上がり、米国本社は新製品を欧米だけではなく日本にも同時に紹介することにしたのです。
受ける日本側は喜びました…それだけ日本の地位が上がったということですから。
ところが、これが思いもよらず頭を悩ませることになってしまったのです。
新製品(顧客にとっては原料)ですから、、まずは顧客の研究所の技術者に紹介して興味を引き出そうとします。
この新製品を使用して御社の製品開発を行いますと、これこれの性能を改善・向上させることが出来ます。
当社の研究データをご参考下さいと言って紹介します。
それ以前は、
欧米ではこのような分野で実際に使用されていますのでご検討下さいという売り込み方でした。
さて、その新製品を紹介された技術者達の殆どの反応はどうであったかと言いますと;
研究データ上は確かに有益な結果が出てはいるけれど、欧米で実際に使っている会社はあるの?という質問でした。
米国と欧州数カ国と日本だけに同時に紹介させて頂いておりますので、まだ使用されている実績はありませんと答えます。
すると、その技術者達は、実績がないとなあ~、困るんだよねぇって言うんですよ!
エッ!? どうしてですか?
いやあ、うちの会社では、実績のない新材料を使う研究開発の許可を得ることは難しいんだよなあ…
欧米のどこかの会社が実際に使っているという情報があればねぇ、と曰うのです。
何のことはない、どこかの会社が実際に使っているのであれば、うちの会社としても使える可能性がある筈だという旧態依然とした発想なのです(^_^)
欧米に学ぶことはもうないと豪語していても、内実は相も変わらぬ欧米追随で、独自の判断に基づいて研究開発を行うという進取の気性がなかったのですね。
その後、ビジネスの世界では日本も大きく向上したと思いますが、政・官・マスコミの世界では未だに米国追随の様相を呈しています。
これからの日本は、世界の国々が参考にしたがるような新しい国家・社会のモデルの創造を目指すべきだと思うのですが…
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