キバナコスモス |
(2010年1月8日HP掲載)
松岡圭祐氏の「催眠」という小説の中で、近年の派手な演出のパチンコ台は、やっている人々をトランス状態に陥れるという内容が紹介されています。
トランス状態とは
精神医学において、脳内の感覚が幻覚や催眠を催している状態のことだそうです。つまり、理性、平常心が失われて途中で止めることが非常に難しくなってしまう状態ですね。
パチンコやスロットを週2回以上やられる方は、そのことが良く分かる筈です。
止める時は、残金を確認して、ゲッ!? こんなに使ってしまったんだぁ!
と後悔したときですね。
勿論、後の祭りです。まあ、 お金を使いすぎてしまっただけなら、まだ救われるのですが…
気温の高い季節に、
小さな子供を車の中に置き去りにしてパチンコに夢中になってた母親が、車に戻ってみたら子供が脱水症状で意識を失っていた、あるいは、死んでいた、なんて記事は珍しいと言えなくなってます。
悲惨な事故ですね… いや、未必の故意に相当するとも言えるかもしれません。
加害者と被害者の両方が悲惨
交通事故もそうですが、加害者と被害者の両方が悲惨です。第三者からすれば、加害者を罰して終わりなんでしょうが。
しかし、関係者からすれば、そうはゆきません。
例えば、先ほどの母子の場合、
父親にとっては子供と妻の両方を同時に失うことになるとも言えそうなケースです。
その母親を罰することで、直接の被害関係にある父親は、何か心理的にも得するようなことでもあるんでしょうか!?
自己責任という発想だけでは解決できない
松岡圭祐氏は、加害者である母親が罰せられることは当然だが、そのような事故の原因を誘発する派手な演出のパチンコ台を規制しないことの方が大きな問題だと考えておられるようです。確かに、自己責任という発想で、加害者が出てきたら片っ端から罰してゆけばいいという遣り方では、何らの学習効果・進歩もないことになってしまいますからね。
途中で止めることが難しい
やっていると分かりますが、止め時が非常に難しいですね。二・三千円でこりゃあ当たりがきそうもないと思ってしまえば、別の台に移るか帰るかします。
でも、一つの台に一万円以上もつぎ込むと、もうイケマセン…
もう少しやると当たりがくるんじゃないか、ここまでつぎ込んだから止めるのは勿体ない、などと思っていると、アレヨアレヨという間に二時間程度で五・六万円も使ってしまうことになるんですねぇ…
ここで二手に分かれるんです。
- もう止めた、金もなくなり馬鹿らしくてやってられんと思って帰る人。
- せめて半分でも返してもらわなくちゃ、後二万円も突っ込んだら出始めるだろうと思ってやり続ける人。
五・六万円使っても出ない台は、十五万円つぎ込んでも一・二万円返ってくる程度でしょう。
前頭葉が働いていないトランス状態
狭い小さな椅子に座って、殆ど体を固定させるような状態で、手と腕だけを動かすという非常に単純な作業を、何時間も特別な苦痛を感じることなくやってしまうということに対する驚きもあります。頭を使いませんし、習得する技術的なものはなにもない、極端に単純な作業です。
端から見たら、確かに異常な光景でしょうが、これが出来ちゃうんですから、前頭葉が働いていないトランス状態と言われて納得できそうな状況ではありますね。
警察とパチンコ業界の癒着
遠隔操作
2007年4月24日付け毎日新聞にパチンコ店の遠隔操作(風営法違反)の記事が載っています。神奈川県内で老舗のパチンコ店が違法の機械をパチンコ台34台に取り付け、客に大当たりを出したいときに遠隔操作で出せるようにしたということです。
例えば、全ての台の設定を「1」にして、出したいときにだけ出すという操作ができるわけです。
記事内容は:
『店長室のパソコンから遠隔操作して、サクラ役を座らせた台に「確変」を出すなど、大当たりさせて客寄せに使い、長時間当たりが来ない客にも当たりを出していた。
同店は71年開店の県内でも老舗のパチンコ店。容疑者は「赤字続きで何とかもうけようと思った」と容疑を認めている』
まあ、殆どの店でやっているような気もします。
常連客がこりゃあダメだと思って止めた台に、見知らぬ人が座って即座に出始めるというケースが珍しくもありません。
あからさまな遠隔だぁ~、と常連客は頭にくるようですが、だからといって止める気配もありませんねぇ。
癒 着
エッ!? なぜ警察は厳しく取り締まらないんだ?とおっしゃるんですか。警察とパチンコ業界の癒着は酷すぎるようですから、まあ、期待はできそうにありませんね。
ルポライターの溝口敦氏が週間ポストに連載した内容を文庫本で出版しています。
ご興味がお有りの方は、ご一読下さい。
信じられないような癒着の実態が暴露されております。
遠隔操作のことも書かれてますから、読むと、パチンコもスロットもやるのがバカらしくなってしまいますよ。
本は小学館から2005年に出版されてますので、古本屋でも見つかるかもしれませんね。
【ご参考】
ギャンブル依存とたたかう
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